咽喉頭異常感とは
「のどに何かひっかかる感じがする」「のどに何かできている感じがする」「のどがイガイガ、ザラザラする」といった感じを咽喉頭異常感といいます。
咽喉頭異常感の原因は、のどの炎症(咽喉頭炎)、食道や下咽頭の悪性腫瘍、甲状腺の病気および脳や脳神経の病気などから起こり、十分な検査が必要です。検査を十分にしてもはっきりした原因となる病気が見つからない場合に、”咽喉頭異常感症”という病名がつけられます。
咽喉頭異常感を起こす病気
のどの病気
のどは、細菌・ウイルスなどの外敵の侵入を防ぐためのリンパ組織が大変豊富なところです。ある程度の炎症を起こすのは、その役目といってもよいでしょう。しかし、扁桃などには細菌がつきやすく炎症が続いてしまう(慢性咽喉頭炎、慢性扁桃炎)ことがあります。これがのどの異常感を起こす原因となります。
治療は、抗生物質その他の抗炎症剤を用いて保存的治療を行いますが、改善しない時は扁桃摘出術を行います。また、舌根扁桃肥大といって舌の付け根にあるリンパ組織が腫れて咽喉頭異常感が出現することがよくあります。
食道・下咽頭悪性腫瘍
咽喉頭異常感に、食物が飲みこみにくい、および体重減少などの症状を伴う場合は、食道・下咽頭悪性腫瘍の可能性ががありますので、がんの検査をきちんとしなければなりません、食道の透視や内視鏡検査、下咽頭のファイバースコープ検査が必要となります。
がん以外の食道の病気
食道憩室、特発性食道拡張症、プランマー・ビンソン症候群等があり、診断には食道透視や内視鏡検査が有効です。
胃・食道逆流症(逆流性食道炎)
主に睡眠中に胃液がのどや食道に逆流して粘膜を荒らしのどに異常感を起こします。問診やのどのファイバースコープで診断がつくこともありますが、胃や食道の内視鏡検査をお勧めする場合もあります。
脳・脳神経障害
脳・脳神経の変性疾患や腫瘍などで、のどの感覚異常・運動障害が生ずることがあります。脳のCT検査を行うことにより診断します。
心臓疾患
狭心症や初期の心筋梗塞の場合に、のどに棒がひっかかっている感じを訴えることがあり、心電図や胸のレントゲン検合が必要となります。
甲状腺の病気
橋本症や甲状腺腫瘍でも咽喉頭異常感が起こります。甲状腺の病気は、丁寧な触診と血液検査、超音波検査、CT検査で発見することができます。
変形性頸椎症
首の骨の異常でも、のどの異常感が生じます。のどの直ぐ後ろが頸椎で、加齢による頸椎の変型(変形性頸椎症)や首・肩のこりで、咽喉頭異常感が生じることがあります。
また、病気とはいえませんが、過長茎状突起といって、骨のでっぱりが普通より長い人がいます。これが扁桃の後面に達して違和感を起こすことがあります。レントゲン検査でわかります。
のどの違和感の原因が極く軽度であるのに違和感に意識が集中し、仕事が手につかず日常生活に支障を来たすことがあります。咽喉頭異常感症の患者さんの多くは神経が敏感な方が多く、心因的なものとか更年期障害とも関連することがあります。また、過度のストレスの蓄積によることもあり、心理的な治療も必要です。時に仮面うつ病や不安神経症の方もおられ精神安定剤を用いたり、臨床心理士や神経科医の助けが必要となることがあります。