医療法人社団 参英会 岩佐耳鼻咽喉科

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若年性難聴

図1 難聴をきたす主な疾患の大まかな年齢分布傾向

難聴をきたす主な疾患の年齢分布を見ると、10歳代、20歳代は少ないです(図1)。しかし、最近、少ないはずのこの年代の難聴が耳鼻咽喉科医の間で注目されるようになり、一部は社会的な問題にもなっています。この背景には、若者特有の自律神経の不安定さに加えて、各種ストレスの増加、趣味、スポーツの多様化、嗜好の変化などが関与しています。また、社会構造の変化に伴い、疾病構造も変化していくことにも注意を払わなければなりません。

(注) 一般に若年者というと幼児・学童が含まれますが、この時期の難聴については代表的疾患である滲出性中耳炎についてに掲載しております。

急性低音障害型感音難聴

急性低音障害型感音難聴とは

最近、耳鼻咽喉科医の間で関心が持たれるようになった疾患で、以下のような特徴を示します。

  • 突然生じる耳の異常感
    (耳閉感、耳鳴、難聴感、音の響きなど。一般に“ワーン” “ボー”と表現することが多い)。
  • 若い女性に多くみられる(20〜30歳代)。
  • 低音域(125, 250, 500Hz)の聴力だけが低下する。
  • 耳管通気で症状が改善しない。
  • 症状は良くなったり、悪くなったり変動することが多い。
図2 急性低音障害型感音難聴の年齢、性別ごとの発症数

軽いめまいや肩こり、頭重感を随伴することもあります。予後良好のことが多いのですが、約3分の1に再発、変動あるいは不変例が見られ、一部はメニエール病への移行が認められます。

当クリニックでは、本症は過去2年間で127人を数え、その約4割が20歳代の女性でした(図2)。自然に治癒したり、軽度で放置されたりするケースを含めると、実際にはかなりの率で発症していると思われます。従来、本症は突発性難聴、めまいのないタイプのメニエール病(蝸牛型メニエール病)、耳管カタルなどとして扱われていたと思われますが、最近では独立した一つの疾患として考えられています。

急性低音障害型感音難聴の原因・治療

原因は自律神経失調、ストレスなどを背景として、内耳血行障害に起因する内リンパ水腫、一部は内耳自己免疫病と関連するとの説が有力ですが、本当のところははっきりとは分かっておりません。

治療に関しては、ストレスを避ける生活を心掛けていただき、神経代謝賦活剤やビタミン剤、精神安定剤を、場合によってはイソソルビド、副腎皮質ホルモンなどを投与します。

症例:23歳女性

図3 症例のオージオグラム

仕事その他で睡眠不足が続いており、仕事中に突然右耳が“ワーン"とした感じになった。その夜一時軽快したが、翌日再び“ボワーン"とした感じになり、音が反響して聞こえるようになったため来院されました。症状として肩こり、頭痛もみられました。

聴力検査で右耳の低音域に聴力低下が認められました(図3)。ビタミンB12と筋緊張緩和剤、消炎鎮痛剤を投与し2週間経過を観察しましたが、症状、聴力とも多少変動しながら全体的に改善傾向が見られなかったため、イソソルビドを追加したところ、10日後に軽快し、以後再発はありませんでした。

ロック難聴

ロック難聴とは

難聴を起こす原因により、「ヘッドホン難聴」「ディスコ難聴」「コンサート難聴」などとも呼ばれます。いずれも大音響の音楽(圧倒的にロック音楽が多い)に一定時間暴露されたあとに内耳障害を起こし、耳鳴や難聴、耳閉感などといった症状を訴えます。10歳代、20歳代に多くみられ、中には従来の職業性難聴に類似した、慢性の騒音性難聴と考えられる症例もあります。

ロック難聴の原因

若者のロック音楽嗜好と、強い刺激が好まれる風潮の中で、近年、このタイプの難聴は増加の一途をたどっています。

特にコンサートでは座席が固定されているため、スピーカーに近い席に座った観客は難聴を発症する可能性が高まります。また、同じ条件下で音楽を聞いていても、障害の程度には個体差、左右差があり、疲れやストレス、飲酒の有無などで内耳の易傷性が亢進するといわれています。

それと、コンサート以外でも地下鉄の中などの騒音下でヘッドホンを用いると音量を上げて聞くようになるため、危険が増大するので注意が必要です。

当クリニックにも1日に3人のロック難聴患者が来院したことがありました。3人とも互いに知り合いではありませんでしたが、たまたま前日に同じコンサートで音楽を聞いていたとのことでした。何万人も入る施設で行われたコンサートで、実際にはかなりの人数が難聴を起こしたことが推測されます。音楽そのものを聞かせるより、大音響で雰囲気を盛り上げようとするミュージシャンやコンサート主催者、クラブ経営者の方などは注意を促したいものです。

ロック難聴の治療

治療にはビタミン剤や神経代謝賦活剤、血管拡張剤、副腎皮質ホルモン、低分子デキストランなどを用います。しかし、予後不良例も多く、難聴が治っても耳鳴が残るケースもあります。

症例:17歳女性

図4 症例のオージオグラム

ロックコンサートで音楽を聞き、終了時から両側の耳鳴と耳閉感に気づいた。右耳はしばらくして軽くなったが、左耳は翌日まで改善しないため来院されました。座った席はステージに向かって左側で、左前方にスピーカーがあったとのことでした。

鼓膜に異常なく、聴力検査で左耳に4000Hzを中心とした感音難聴が認められ、右耳にも同様の傾向が認められました(図4)。

直ちに神経代謝賦活剤とビタミンB12、副腎皮質ホルモンを投与したところ、右耳は4日後に改善し、左耳も2週間後にほぼ回復しましたが、左耳の耳鳴はその後も残りました。

ロック難聴になるのを防ぐためには

対策としては次のようなことが挙げられます。

  • 長時間、大音響で音楽を聞かない。騒音下でヘッドホンを用いない。
  • スピーカーのすぐ近くで音楽を聞くのを避ける。
  • 音楽を聞いている途中で耳鳴や耳閉感を感じたら、直ちに退場するか耳栓をする。
  • 次の日まで症状が残ったら耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。
  • コンサート主催者や経営者、ミュージシャンヘの注意喚起・対策指導。

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