医療法人社団 参英会 岩佐耳鼻咽喉科

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難聴とは

音は外耳から入り、中耳、内耳と伝えられます。機械的エネルギーである音波は、内耳で電気信号に変えられ、内耳から先は神経を介して脳に伝えられ、ここで初めて音として認識されます。これらの経路のどこに障害があっても「きこえ」は悪くなります(図1)。 「きこえ」の悪いことを難聴と言います。

図1 耳の構造

難聴の原因

外耳疾患による難聴

耳あか、異物、外耳炎による腫れなどにより外耳道が塞がれると、鼓膜に達する音波のエネルギーが減少するために「きこえ」が悪くなります。

中耳疾患による難聴

耳管狭窄症(耳管カタル・中耳カタル)

鼻の奥(鼻咽腔)と中耳との間に耳管という「くだ」があり、中耳の空気圧を調整しています。この耳管が何らかの原因で塞がると、中耳腔が陰圧になり、耳がつまった感じが出てくると共に「きこえ」が悪くなります。

急性中耳炎

鼻やのどの細菌が耳管から中耳に侵入して、中耳に感染が起きると急性中耳炎になります。急性中耳炎で中耳腔に膿が溜まると、「きこえ」が悪くなると同時に激しい痛みを伴います。

滲出性中耳炎

耳管狭窄症が長く続くと、滲出性中耳炎といって、中耳腔に水が溜まった状態になり、難聴は高度になります。小児の難聴の大部分は、これが原因です。急性中耳炎と違って炎症が軽度なため痛みがなく、また子供は難聴を訴えないので、発見が遅れます。テレビの音を大きくしたり、後ろから声をかけても振り向いたり答えがない場合は要注意です。

急性中耳炎を完全に治さないと滲出性中耳炎に移行し、難聴が持続的になりますので注意が必要です。さらに、急性中耳炎や滲出性中耳炎を放っておくと慢性中耳炎になることがしばしばあります。

慢性中耳炎

鼓膜に穴が開きっぱなしになり中耳が直接外気にさらされますので、感染をおこしやすく耳だれを繰り返します。難聴の程度は様々ですが、耳漏を繰り返しながら少しずつ悪化していきます。長い経過の内には炎症が内耳に波及し、めまいおよび内耳性難聴を引き起こすことがあります。

耳硬化症

中耳の音を伝える耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)が固着して動きが悪くなったり離断したりすると、内耳に音の振動が伝わらなくなり難聴が出現します。耳硬化症というのは耳小骨(主にアブミ骨)が固着する病気です。白人に多く有色人種には少ないとされていたのですが、最近では日本でも増加する傾向にあります。

内耳疾患による難聴

内耳は、音を電気信号に変えて神経に伝えるという役目のほか、体のバランスを保つという重要な役割を果たしている非常に繊細な器官です。したがって、血流の変化、ウイルスや細菌による炎症、薬物中毒、外傷などにより障害を受けやすく、難聴、耳鳴、めまいなどの症状が起こります。

内耳性難聴を示す代表的な疾患を挙げます。

メニエール病

内耳のリンパ液の過剰な状態(内リンパ水腫)で起こり、難聴、耳鳴、耳のつまり感などの聴覚症状を伴っためまいを繰り返す病気です。発作を繰り返すうちに、徐々に難聴が進行する場合もあります。

突発性難聴

ある日突然、「きこえ」が悪くなる病気です。耳鳴やめまいを伴うこともあります。治療を開始する時期が早ければ早い程、治りやすいと言われています。原因はウイルス感染、内耳の血管の血栓症などが考えられています。

ストマイ難聴

結核の特効薬であるストレプトマイシンやカナマイシンなどは、内耳に対する毒性があるため難聴を起こすことがしばしばあります。これらの薬を使用している時は、定期的に聴力検査を行う必要があります。ストレプトマイシンのある型のものは、めまいを起こしやすいといわれています。

騒音性難聴

長年騒音の中で働いている人は、内耳に対する過剰な刺激のために、感覚細胞が損傷し難聴が起こります。最近、ロックコンサートやヘッドホンの使用によっても難聴を来たす可能性があると瞥告されています。強い爆発音などでは、たった一回でも内耳性難聴やめまいを生じることがあります。

老人性難聴

内耳や神経の老化、血管の年齢的変化などにより、50歳位から徐々に難聴が始まります。難聴を自覚する年齢は個人差がありますが高い音から聞こえづらくなるのが特徴です。当然のことながら、加齢と共に進行します。

その他の疾患

ストレス・糖尿病・高血圧・梅毒・自己免疫病などにより内耳性難聴がおこります。

神経性難聴

内耳から脳へ音の信号を送る経路の途中に障害があって起こる難聴です。障害の原因としては、血管障害、炎症、変性、老化、腫瘍などが考えられます。中でも注意しなければならないのは、聴神経腫瘍です。これは「きこえ」の神経から生ずる良性腫瘍ですが、大きくなると脳腫瘍となるので、小さい内に発見して耳鼻科で手術をする必要があります。徐々に進行する難聴が特長で、めまいを伴うこともあります。腫瘍が大きくなると脳外科で手術を受けなくてはなりません。

難聴の治療

外耳・中耳性疾患による難聴の治療

外耳や中耳の病気では、適切な治療により難聴が改善されるのが普通です。

耳管狭窄症、滲出性中耳炎、急性中耳炎などは、鼻やのどの炎症が原因となることが多いので、それらの治療も平行して行います。

小児の場合は、アデノイドの肥大や扁桃炎が原因のことが多いので、手術をすることがしばしばあります。

慢性中耳炎の治療には、手術が必要です。耳硬化症も、手術をすればきこえがよくなります。

内耳性難聴・神経性難聴の治療

一般に、内耳性難聴や神経性難聴に対しては手術を行うことはまれで主に投薬が行われてきました。最近、メニエール病に対して手術が行われるようになり、めまい、難聴、耳鳴の改善が見られるようになりました。補聴器が使えないほどの高度の内耳性難聴に対しては、内耳に電極を埋め込み、直接、神経を刺激して音を感じさせる方法がアメリカで始まり、日本でも1980年、神尾記念病院のグループが第1例を成功させました。現在では、たくさんの高度難聴者がこの手術を受け、ある程度の聴力を取り戻しています。

岩佐耳鼻咽喉科 医学博士 岩佐英之

難聴が日常会話に支障を来たす程に進行し、各種の治療で改善が望めない場合、補聴器の適応となります。自分に適した補聴器を選択するのは大変難しく、合わないと難聴が進行する場合もあります。補聴器を選ぶ際は十分検査をして、最もよく適合したものを選び、かつ何度も調整をしながら馴れていくことが大切です。専門医によく相談して下さい。

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